バイオマスは環境を守り、豊かにする

バイオマスは適切に使用することで、環境を守り、豊かにするうえで重要な役割を果たすことができます。

Draxは持続可能なバイオマスの世界トップクラスの生産者兼供給者として、当社が生産するバイオマスによって、気候にも、自然にも、地域社会にも、プラスの影響がもたらされるように強い決意で臨んでいます。

誤解のないように申し上げると、すべてのバイオマスが持続可能なわけでも、再生可能なわけでもありません。しかしこれを適切に採取すれば、私たちが目指すプラスの影響に間違いなくつながります。そして私たちは、そのために明確なポリシーとプロセスを採用しています。

私はCEOとして、こうしたプラスの影響を実現し、維持していくには、社内的にも社外的にも、たゆまぬ挑戦が必要であることを理解しています。特に、経済の脱炭素化においてバイオマスが果たす重要な役割について、私たちと意見を異にする方々にどのように対応するかということは大切な点です。

だからこそチームも私自身も、非常に多くの時間を費やして、バイオマスの推進派と反対派の両方と対話を進めようとしています。こうした対話は往々にして試練をもたらしますが、これが最終的には、私たちが新たな視点を持ち、当社の活動をより良い方向へと変えることにつながるものになると考えています。

バイオマスは現在もエネルギーミックスの比較的新しい一角であるため、当社の活動を知ろうとしている方々が正確な情報を簡単に入手できるようにすることは重要であり、その重要性はますます高まっています。私たちは当社の事業に関するすべての主張を非常に真剣に受け止め、その内容を精査しています。しかし同時に、寄せられる主張が誤解に基づくものであったり、単純に真実ではなかったりするケースを特定することも、重要だと感じています。

私たちは先日、Draxに関する不正確な記述を目にしました。それはバイオマスに反対するボーカルマイノリティ(意見を声高に主張する少数派)の見解を主に取り上げたものでした。これらの主張の多くは、持続可能な森林管理や気候変動の裏付けとなる科学をあまり理解していない人々や、既得権を持ちバイオマス業界の失敗を願う人々により何年にもわたり提唱されてきた、バイオマスに関する不正確な見解を繰り返すものでした。こうした間違った主張がなされることの重大性に鑑み、そうした問題の一部について、私から以下の通り直接回答させていただきます。

バイオマスは環境を守り、豊かにする

バイオマスは適切に使用することで、環境を守り、豊かにするうえで重要な役割を果たすことができます。バイオマスは発電において化石燃料から直接置き換えられるだけでなく、建設に使用される木材製品の市場をサポートし、セメントなどCO2を多く排出する資材の使用の削減に寄与するものでもあります。

世界の気候目標の達成において、持続可能な形で採取されたバイオマスが果たす重要な役割については、何千人もの科学者による裏付けを有する、科学に基づく世界的気候権威である国連の気候変動政府間パネル(IPCC)でも、最新のレポートにて言及されています。

当社がバイオマスを採取している森林は、森林の長期にわたる健全性と成長をサポートするためのベストプラクティスに従って管理されています。たとえばカナダでは、これまで森林のエコシステムやそこに生息する生物の多様性を破壊してきた病気や森林火災の広がりの阻止に、森林管理が寄与しています。

米国南部では、林冠を広げ、地面に光が届くよう、間伐を実施しています。これは、昆虫や自生の植物、ウズラなど減少傾向にある種の生息環境を改善することにもつながります。

ペレットへの需要増で森林破壊が進むことはない

ペレットへの需要が増えることによって森林破壊が進むことはありません。  カナダの森林破壊率は0%です。  米国南部では、1950年以降、森林のインベントリが倍以上になっています。 ペレットへの需要は、木材製品全体への需要の中のごくわずかに過ぎず、米国では0.1%にも満たない程度です。カナダでもペレットへの需要の割合はわずかで、年間伐採量に占める割合は0.5%にも届いていません(具体的には0.36%)。

おがくずや樹皮、木片、間伐材、さらには病気の樹木や、他の目的で森林が伐採される際に発生してしまう損傷木材が、伐採木材全体に占める割合は小さく、ブリティッシュコロンビア州でも5%、米国南部でも4%に過ぎません。(国連のFAOSTAT Forestryによると、米国で伐採される資材のうち、木質ペレット(木質バイオマス)用になるものは全体の約4%であることが森林伐採の各種統計にて示されています。ブリティッシュコロンビア州では、州が定めた年間伐採可能量に基づいて、7400万立方メートル(メトリックトン換算で4500万メトリックトン)が伐採されています。同州から輸出される木質ペレットは237万メトリックトンであるため、全体に占める割合は5.3%ということになります)

カテゴリー2のライセンスと、Draxがそれを取得している理由

Draxはブリティッシュコロンビア州のカテゴリー2ライセンスプログラムのもと、政府機関であるBritish Columbia Timber Sales Programme(BCTS)が公表する、土地の保有契約に入札する資格を有しています。

このカテゴリー2ライセンスプログラムは、確立され、法制化されたプロセスに基づいて実施されています。

入札は承認されたオンラインプロセスで実施されており、当社はこれを落札したことで代理権(POA)を持つことになりました。伐採におけるすべての義務は、このPOAを保有する製材企業の責任になります。このプロセスはBCTSの規定により承認されています。

森林資材の伐採および選別プロセスを管理し、それにより必要な木材を取得する作業は、製材企業が行っています。Draxはこの伐採プロセスにも選別プロセスにも関与していません。

Draxは製材企業と契約し、このカテゴリー2ライセンスによる木材への権利と引き換えに、木質ペレットの生産に使用する製材残渣(おがくずや木片、樹皮)を供給してもらっています。木質ペレット業界の経済システムは、ペレットの生産のために森林伐採を大々的に促進するようなものではありません。

Draxはこの入札で落札を行った企業であるため、ライセンスの書類にはもちろん当社の名前が載っています。しかしだからといって、Draxが伐採活動を実施しているというわけではありません。

Draxは現在、ブリティッシュコロンビア州のカテゴリー2ライセンスを2つ取得しています。また現在のところ、このカテゴリー2ライセンスをさらに取得するための応札は実施していません。

伐採後最大2年間は林床に伐採スラッシュを置いておける

スラッシュとは、商品化に適さない非常に低質な木材を指す用語です。

ブリティッシュコロンビア州政府の伐採規定では、スラッシュをペレット製造所に運んだり、現場で焼却したりするまでに、最大2年間はスラッシュを伐採現場に置き、そこで乾燥させてよいとされています。

ブリティッシュコロンビア州の規定に基づいてスラッシュを適切に管理する業務は、伐採のために当社がPOAを渡している企業が行うことになります。

Draxのカテゴリー2ライセンスに原生林は含まれていない

原生林の定義は組織によってさまざまです。国連食糧農業機関ではこれを「人間活動を示す明らかに目に見える跡がない」森林と定義しており、Draxや他の多くの組織でもこの定義に倣っています。

Draxは、この国連食糧農業機関の定義において原生林とされる森林では、カナダのライセンスを一切取得していません。

政府により伐採対象とされているエリアは、環境基準の包括的リストを使って同政府が慎重に選定しています。このリストには、老齢樹管理、地形および場所レベルの生物多様性、老級の分布(老齢樹)、水辺管理、流域管理、野生生物管理、美観、絶滅危惧種、希少で繊細なエコシステム、文化遺産リソース、土壌の質、種の多様性、土地の生産性、社会および経済的観点などが含まれています。

Draxは、製材所にて木材製品にすべき丸太は使用していない?

カナダにある当社のペレット工場で使用している資材の2022年現在までの内訳は、81%が製材残渣、8%が伐採残渣、10%がパルプ用材を含む丸太(グレード4)です。

すべての資材は、Draxに供給される前に、製材企業にて選別および格付けされています。当社が使用するグレード4の丸太は、適正丸太より質の低いものになります。これらがパルプグレードの丸太になる場合もありますが、パルプ用材としての市場がない場合、製材業者による伐採および選別時にそれらは製材資材から外されることになります。そして、そうした木材のなかに、Draxにてペレットに加工されるものがあるのです。

商業森林をけん引するのは高品質の丸太への需要です。こうした丸太は製材所で加工され、建築や製造に使用されます。

こうした目的に合っていない木材については(病気がある、成形ミスがあった、非経済的であるなどの理由)、当社の調達ポリシーを遵守したうえで、バイオマスの生産に使用される場合があります。

バイオマス業界のガバナンスにおいては独立性のある厳格な監督を行うことが重要

Draxは、エネルギー業界、そして当社の事業およびサプライチェーンに適用される、必要なすべての法律、規制、基準に従っています。また、必要な法律に従い、その原材料の継続的な持続可能性の確保に努めています。

こうした規制や基準に使用されている炭素会計規定は、2019年改良の2006年IPCC国別温室効果ガスインベントリガイドラインによる世界トップクラスの国際的な科学的見解に基づいて策定されており、さらにEUの再生可能エネルギー指令(RED)などの国際的枠組みも踏まえています。

バイオマスを利用する企業は、サプライチェーン上の排出量を測定し報告することを義務付けられています。こうした要件は、他のエネルギー生産技術に求められる要件よりも厳しく、複雑であるという点で、特異です。Draxは、Renewables Obligation(再生可能エネルギー購入義務)およびCfD(再生可能エネルギーを推進するための差額決済契約)を含む各種の法規定のもと、サプライチェーン全体とそこに関連する排出量について、Ofgem(英国のガス・電力規制機関)に報告しています。

Draxはまた、持続可能なバイオマスプログラム(SBP)やFSC、SFIなど、任意の認定プログラムにも情報を幅広く提供しています。こうしたプログラムは、当社の使用している資材が、求められる持続可能性基準を満たしていることを第三者の視点で確認するものです。

さらに、当社の年次報告書においてもこのデータの包括的な概要を公開しています(監査対象となるスコープ1と2の排出量および排出のレベルに関するデータを含む)。

Draxは、自社の排出量および管轄区域に関するすべてのデータおよび情報を公益のために公開しています。これらの情報には、森林の成長、資源の拡大、隔離率(森林の生産性)なども含まれます。当社のサプライチェーンにおける排出量は、当社の年次報告書および説明書にてすべて報告しています。Draxは、自社のすべての排出量(スコープ1、2、3)を報告しています。

そして、ブリティッシュコロンビア州の厳格な立法システムと木材販売におけるSFI認定の存在を踏まえて、私たちは、伐採対象に選択されているエリアにて、カテゴリー2プログラムに該当するものも含め、政府の管理目標を満たしているという一点の曇りもない自信を持っています。

こうした取り組みは、業界に加え、ファーストネイションズや地域社会の人々など、当地に関係するその他の関係者と共に、政府による長期伐採計画策定プロセスの一環として実施しているものです。

持続可能なバイオマスは、気候変動に立ち向かい、コミュニティをサポートし、エネルギー安全保障に寄与するうえで重要な役割を果たす可能性を秘めていることから、世界中の政府や科学者からますます注目されています。私たちのパーパス(存在意義)とすべての行動の中心にあるのは、持続可能性に対する強い決意です。このことが今回のメッセージを通じて皆様に再度伝わることを願っています。

Draxグループ CEO ウィル・ガーディナー